こんにちは、さとりです。今回は割安株投資について考えてみました。
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昨今の「利上げ」により「グロース株投資」が軒並み壊滅的ダメージを受けたことがきっかけなのか、高配当株を始めとした「割安株投資」に注目が集まっているかのように思えます。
また、東京証券取引所が低PBRの企業に対して改善を求めるという方針を示したこともあり、なおのこと注目されているように思えます。ある意味、日本株におけるバリュー投資は「今のうち」なのかもしれませんね。
さて、この記事では、そんな割安株の探し方について、ひとつのやり方を紹介してみます。
判断基準まとめ
- 日本取引所グループで全体を見て、株探で個別に選定する
- PER:米国=15以下・日本=9以下
- PBR:米国=1.5以下・日本=0.9以下
- ROE:10%以上
- EPS:成長していること
- 配当金:増加傾向かどうか
- 配当性向:50%以下かどうか
- 自己資本比率:66.7%以上かどうか
有用な書籍
割安株投資をするにあたり、非常に有用な書籍があります。今回はそれらに書かれていることを参考にしながら考えていきます。
頼れるものは世界の名著。これしかありません。
長期的バリュー投資の基本と原則
「長期的バリュー投資の基本と原則」には、次のように書かれています。
- PER:S&P500(市場平均)よりも20〜50%低い銘柄
- PBR:航空や鉱業などの特定業界において、2倍以下の銘柄
- 利回り:投資時点で3%以上
- 増配:1桁台後半から10%の水準で増配
- 配当性向:50%を上回らないこと
- DEレシオ:負債資本倍率が50%を下回る企業
- DSCR:元利金返済カバー率が3倍以上
- ROC:資本利益率が10%以上(ROEでも)
- 流動比率:流動資産が流動負債の2倍以上であること
小難しい名称が多いですが、数値を調べるだけなら簡単です。
DSCRと流動比率以外は「株探」や「Yahooファイナンス」で調べられますね。流動比率は企業の公式サイトなどに掲示されている「貸借対照表」から調べることができます。
すべてのポイントに合格してなくても、十分割安な株は見つけられると思います。
賢明なる投資家
「賢明なる投資家」には、次のように書かれています。
- PER:現在の株価が過去3年間の平均収益の15倍を上回らないこと。
- PBR:1.5倍以下であること
※PER×PBRが22.5以下なら、多少のはみ出しは容認 - 流動比率:流動資産が流動負債の2倍以上であること
- 企業の規模:ある程度大きいこと
- 収益の安定性:過去10年間、毎年収益があること
- 配当の履歴:過去20年間、無配でないこと
- 収益の成長性:過去10年間において、初めの3年と最後の3年を比べたとき、一株当たり利益(EPS)が最低3分の1以上伸びていること。
こちらも、ほとんどの情報は「株探」で調べることができます。ただ、見る期間が長期間なので、しっかり調べようとするなら「株探プレミアム」に加入するか、別のサイトもしくは公式サイトでひとつずつ見ていく必要があります。
まとめてみると…
お手軽に探したいのなら、以下の点を見ると良いかと思います。
- PER:15倍以下か
- PBR:1.5倍以下か
- EPS:成長しているか
- ROE:10%以上か
- 配当金:増加傾向にあるか
- 配当性向:50%以下か(配当金額÷EPS)
- DEレシオ:負債資本倍率が50%を下回る企業
→自己資本比率が66.7%以上
もうちょっと深く見てみたいのなら、さらに以下の点を。
- 流動比率:流動資産が流動負債の2倍以上であること
といったところでしょうか。
米国株と日本株では違う
平均値の差
上に書いた基準は、全て「米国株」でのものです。
割安な日本株を探す場合、「PER」と「PBR」については、上に書いたものより低い数値を使うべきではと考えています。
具体的に言うと
- PER:9倍以下
- PBR:0.9倍以下
くらいかと思っています。
なぜ書籍の数値より低いのか。それは米国と日本とでは平均PER・PBRが異なるからです。
では、日本株の平均値はいくらなのでしょうか。日本経済新聞さんの日経平均プロフィルで、毎日の平均値を確認してみましょう。
試しに「2023年4月3日」を見てみると、それぞれの数値は…
- PER:13.53
- PBR:1.21
なんということでしょう。書籍の基準で考えた場合、日本株というだけで割安株になります。日本株なら何でも割安!買いだ買い!
…というわけにはいきませんよね。探したいのは「日本株の中で割安な銘柄」なのです。そのためには、日本株用の基準を考える必要があるのです。
それでは、まず国によって数値にどれくらい差があるのかを調べてみましょう。「マイインデックス」さんのサイトで、世界各国の平均値を見ることができます。(予想値ではなく実績値)
米国と日本とで比べてみると、こんな感じになります。(2023年2月の平均値)
米国
- PER:20.3倍
- PBR:3.9倍
日本
- PER:12.9倍
- PBR:1.3倍
大きな差があります。同じ基準で測るのはふさわしくないと、なんとなく感じますよね。米国株に対する日本株のPERは約63%、PBRは約33%です。
この比率を割安判定の基準にそのまま当てはめると、日本株の割安基準は
- PER:8.127倍
- PBR:0.429倍
となります。これは…すごく割安ですね。割安すぎて、裏になにかあるのかと不安になってしまいます。ただ、ここまで低い銘柄はなかなか見つけられません。銀行業にはチラホラありますが、それ以外の業種ではかなり難しい。特にPBRが。
これでは投資先がなくなってしまうので、ちょっと基準を緩くしようという話です。
そうしたことでなんとなく考え出された基準が【PER=9倍以下】と【PBR=0.9倍以下】というざっくりとした基準です。更に厳選したいなら、それぞれを「8.5倍以下」「0.85倍以下」などとすることで、より割安な銘柄を抽出できるかと思います。
探し方のヒントとして…
日本株に限るやり方ですが、日本取引所グループさんのサイトに「規模別・業種別のPER・PBR一覧」がエクセルファイルで掲載されています。
毎月末時点での数値を市場別・業種別に見ることができるため、これを見ることで「今はこの業種が割安かな?」という選定のきっかけを作ることができます。
例えば、全体の中で「卸売業」が割安に見えたとします。ならばGoogleで「卸売業 株」と検索してください。すると「株探」のサイトがヒットすると思います。
「株探」では、その業種に属する銘柄を並べて表示してくれます。PERやPBRでソートをかけると、数値の低い銘柄を見つけやすいかと思います。
気になる銘柄を見つけたら、その銘柄のページに行き、EPSや自己資本比率、ROEなどを確認する…といった感じ。これをひたすら続けるのです。
恒久的に通用する基準はない
割安かどうかの判断に「PER」と「PBR」を用いるのは非常に有用です。また、基準を作ることで判断のスピードが上がり、より効率的に銘柄選定を進められるかと思います。
しかし、ひとつだけ気をつけるべき点があります。平均PER・PBRは日々変動するということです。
ここで例を出します。狙っている日本株があるとします。その株のPERが高いため(15倍)手を出せずにいましたが、数ヶ月かけて株価は下落し基準を下回ったため(9倍)、思い切って買付したとします。
しかし、これと同一期間における日経平均の平均PERも「15倍→9倍」と変化していた場合、狙っていた株は十分に割安と言えるでしょうか?
下落前より株価は「安く」ても、他の株と比べて「割安」だとは限りません。全体を見て、その都度適切に判断をすることが大切と言えるでしょう。
「割安に取り残されている株を買う」。これが重要です。絶対的な基準値にとらわれず、柔軟に立ち回る必要がありますね。
- 全体が上昇する中で、なぜか取り残されている業種(日経平均は伸びているが、陸運業が伸びてないなど)
- 業種全体が上昇する中で、なぜか取り残されている株(半導体全体としては伸びているが、とある半導体株は伸び遅れているなど)
あくまでも、ひとつの目安
今回紹介した手法は、あくまでもひとつのやり方です。詳しい方はもっと細かく絞り込んでいると思います。業種や分野での比較、財務諸表、会計、などなど…
そこまでできると投資がもっと面白くなるのでしょうが、なかなかそのステージにはたどり着けません。
こんなやり方、こんな基準があるんだなという参考にして頂けたらなと思います。
バリュー株投資には、グロース株投資にはない魅力や利点がいくつも存在しています。下落幅、再投資、買い増しの容易さ、心理面の余裕など…
新たなことへのチャレンジは、自分にとって大きな経験値となります。バリュー株投資に伴う銘柄選定をきっかけに、投資を「資産形成の手段」だけではなく、「ちょっとした趣味」としても楽しんでみてはいかがでしょうか。
皆さんの健闘をお祈りしています。
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