投資のタイミングを図る時、その判断として
「利回りが◯◯%以上になった時」
としている投資家。ある程度いるかと思います。
一見魅力的な判断基準のように思えますが、その裏に潜む危険性について、しっかりと把握しておく必要があります。
判断に用いられる「利回り」とはあくまでも「過去の配当実績」です。
未来の配当を保証するものではありません。
減配リスクを抱えるということ
一度、整理しましょう。
利回りとは、【配当金÷株価】で求められるものです。
(例:3,000円÷100,000円=3.0%)
配当金が上がるか、もしくは株価が下がるか。このどちらかにより、利回りは上がります。
しかし、配当金の部分は主に過去1年の配当実績が使用されています。
つまり、この部分は数ヶ月に1度しか変化しません。
よって、日々の相場環境における唯一の変化分である「株価」が下がらない限り、利回りは上がらないのです。
【利回りが上がる=株価が下がる】
株価が下がるということは、何かしらの下落要因があったということです。
その下落要因により、企業の業績が悪くなることを懸念し、売られるということです。
つまり、株価が下がるには、未来の業績に不安が生まれる必要があります。
【株価が下がる=業績に不安がある】
ここまで来たらもうおわかりかと思います。
業績に不安があるということは、減配のおそれがあるということです。
直近1年では3,000円だった配当金も、業績悪化となれば、未来はどうなるかわかりません。
ここでひとつの例え
仮に購入ラインを「利回り3.5%」と設定します。
直近1年の配当は3,000円。
現在の株価は100,000円。
そして、何らかの要因により株価が85,000円まで下落。
購入ルールに到達したため、この価格で購入しました。
しかし残念なことに、業績の悪化により来期の配当金の減配が発表されてしまい、今後1年間の配当金は2,600円となりました。
つまり、今後の利回りは「2,600÷85,000≒3.0%」
買ったときは「3.5%」でしたが、結局、意味のある数字としては「3.0%」となってしまいました。
そして、まだ終わりません。
配当金を高く排出する銘柄が減配を発表した時、ほとんどの場合、株価は大幅に下がります。
それがどれくらい下がるかはわかりませんが、少なくとも5%程は下げることが多いように思えますね。
そうなると、85,000円で買った株が大きく含み損となります。
想定していた利回りにも達せず、含み損も抱え、もう最悪です。
東京電力、日産自動車など、当時凄まじい人気だった高配当株は、今は大変悲惨なことになっています。
有効な場合もある
三菱商事など、累進配当政策を掲げている企業については、ある程度株価が下がったとしても、配当金を減配せずに保ってくれると期待できます。
他にも、高配当ETFなどを利用することで、個別企業の減配リスクを抑え込むことができます。
ただ、これらも確実なものではありません。
累進配当政策であっても限界はありますし、ETFであっても「全体の下げ」には対策を取れません。
重要なのは「増配」
目先で配当金が欲しいのであれば、利回りを重視するのはひとつの策としてアリでしょう。
しかし、長期的な目線で投資を続けるのであれば、ぜひ増配を意識していただけたらと思います。
投資後20年経つ頃には、高利回り銘柄より高増配銘柄の方が配当額は高くなります。
出典:配当成長株投資のすすめ
(デビッド・L・バーンセン著)
ぜひ、ご自身の投資スタイルと照らし合わせ、自分に合った投資法を貫いていただけたらと思います。
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