まずは少しの前置きを…
2022年、気づけば5月となりましたが、未だに相場は下げ基調
1月の決算ラッシュが底、2月のロシアによる原発攻撃が底、3月のFOMCが底、4月の中国ロックダウンが底…
毎月「あれが底」「これが天井」などと言われていますが、悲しいことに年初来安値の更新は継続中です。
相場が色々と逆転しているこの状況。
自分が過去に馬鹿にしていたものが今は絶好調、そんなこともあるのではないでしょうか。
謙虚に過ごしましょう。含み損だからといってピリピリしてはいけません。
さて、前置きはここまで。
本題はここからです。
この記事では、配当金大好き人間に大人気の
- QYLD
- XYLD
これらカバード・コールETFについて、それらが指標とする指数と比べた年初来のパフォーマンスを紹介します。
- Nasdaq100:QQQ
- S&P500:VOO
これらを「指標ETF」とし比較してみます。
結論をさっくり言うと「カバコが絶好調!」です
カバード・コール戦略の勝利
まずはシンプルに、それぞれの年初来パフォーマンスで比較してみましょう。
【QYLD】と【QQQ】の比較
QYLD
QQQ
- QYLD:-12.07%
- QQQ:-20.71%
ジグザグ相場が続いたことから、こういった横ばいに近い局面で力を発揮する【カバード・コール戦略】に軍配が上がりました。
【XYLD】と【VOO】の比較
XYLD
VOO
- XYLD:-7.61%
- VOO:-13.24%
こちらについても、【カバード・コール戦略】の勝ちですね。
やはりボラティリティが高い相場であることからオプショプレミアムを多く獲得できため、それが下落のクッションになっているのでしょう。
分配金を加味すると?
いったん並べて整理してみましょう。
なお、基準価格については、各日終値を採用しています。
年初の基準価格
- QYLD:$22.29
- QQQ:$401.68
- XYLD:$50.75
- VOO:$439.25
現在の基準価格
- QYLD:$19.60
- QQQ:$318.48
- XYLD:$46.89
- VOO:$381.08
現在の年初来パフォーマンス
- QYLD:-12.07%
- QQQ:-20.71%
- XYLD:-7.61%
- VOO:-13.24%
ここで言う年初来パフォーマンスとは、あくまでも基準価格のみで考えた場合です。
今年に入り4ヶ月が経ちましたが、その間にこれらETFから分配金を得ているはずです。
それを加味したパフォーマンスを確認してみましょう。
以下、計算…
それぞれの1口あたり分配金は以下のとおりです。
(小数点第3位四捨五入)
- QYLD:$0.82
- QQQ:$0.43
- XYLD:$1.96
- VOO:$1.37
これらから税金を引くと
(0.717165倍)
- QYLD:$0.59
- QQQ:$0.31
- XYLD:$1.40
- VOO:$0.98
これらを現時点での基準価格に加えると…
- QYLD:$20.19
- QQQ:$318.79
- XYLD:$48.29
- VOO:$382.06
では、この数値を使用し、年初来パフォーマンスを算出すると…
- QYLD:-9.42%
- QQQ:-20.63%
- XYLD:-4.84%
- VOO:-13.01%
となります。
ここでもう一度、基準価格のみの年初来パフォーマンスを見てみましょう。
- QYLD:-12.07%
- QQQ:-20.71%
- XYLD:-7.61%
- VOO:-13.24%
【カバード・コール戦略】が生み出す圧倒的な分配金により、マイナス率がだいぶ緩和されたように思えますね。
株価が上がらないこの局面、分配金によるリターンがパフォーマンスに大きく差をつけたのだとよくわかります。
こういった下げ相場における分配金は、書籍において
- 下落相場のプロテクター
- 利回りシールド
などと呼ばれています。
そして、下げ相場の中でこの分配金を再投資することにより、「リターンをもたらすアクセル」となるのです。
本領発揮はジグザグ相場
一直線の下げ相場には弱い
年初来ではカバード・コールETFの方が良好な結果となりました。
しかし、残念ながら結局の所マイナスパフォーマンスです。
ジグザグ局面では一定の成果を上げられる【カバード・コール戦略】ですが、下げ一方の局面ではそのチカラを発揮できません。
今回の下げ相場では、「1月3日〜1月27日」の下げ一直線が大きなダメージとなっています。
それでは、仮に年初の下げを回避し、1月27日という今年最初の底値に投資を始め、ジグザグ相場のみを過ごしてきた場合、現在のパフォーマンスはどうなるのでしょうか。
QYLD
QQQ
XYLD
VOO
それぞれ、基準価格のみで
- QYLD:-1.46%
- QQQ:-6.63%
- XYLD:-1.16%
- VOO:-3.90%
となります。
ではここで、
- 年初来から
- 1月27日から
これら2パターンにて、カバコETFと指標ETFとにおける下げ幅の違いはどれほどかを見てみましょう。
年初来から
- QYLD:【QQQ】の約6割
- XYLD:【VOO】の約6割
1月27日から
- QYLD:【QQQ】の約2割
- XYLD:【VOO】の約3割
(パーセント表示にすると頭がごちゃごちゃになるので表現を変えました)
1月27日からの相場において、圧倒的にマイナスを抑えられていることがわかります。
いかに【カバード・コール戦略】がジグザグ相場、横ばい相場向けなのか、これを見るとよくわかるかと思います。
獲得するオプショプレミアムが、微細な変動を吸収してくれているのですね。
ジグザグ相場のみ+分配金だと
1月27日からの基準価格に分配金を加味した場合のパフォーマンスは
(カバコETFは2月、3月、4月の3回)
- QYLD:+0.75%
- QQQ:-6.54%
- XYLD:+1.08%
- VOO:-3.65%
となり、なんとプラスパフォーマンスとなっています。
これぞ【カバード・コール戦略】の真髄。
基準価格からの利益を捨て、分配金(オプショプレミアム)による利益のみに的を絞った結果です。
全ては循環する。
謙虚に。謙虚に。
今回の記事では
- 分配金の有効性
- カバード・コール戦略の魅力
これらについて紹介させていただきました。
コロナショックから昨年末までは上げ相場が続いたことから、分配金狙い、インカム狙いの投資は非効率だと虐げられてきた部分がありました。
しかし、ここに来て大逆転。現状の横ばい相場が続く限り、インカム狙いの有効性は続きます。
ただ、相場は循環するもの。
いずれまた上げ相場に転換したとき、インカム狙いの投資は遅れをとるでしょう。
カバード・コール戦略のETFにあっては、その仕組み上なかなか値上がりができず、より大きな遅れとなることが予想されます。
その時がいつ来るかはわかりませんが、いつかはそうなるのだと頭の片隅にとどめておくべきでしょう。
なので、現状が好調だからといって、グロース株投資を揶揄するようなことは控えましょう。
複利という「基本」に立ち戻る。
長期投資における重要要素は、【複利の力】です。
複利の力とは、すなわち【再投資】です。
書籍「株式投資の未来」によると、「1871年から2003年にかけてのリターンにおいて、その内97%は配当再投資が生み出してきた」とあります。
古いデータではありますが、再投資という複利の基本がいかに重要なのかを表しています。
まだまだ先行き不透明な相場ですが、毎月受け取れる分配金の使用用途が定まっていないのであれば積極的に再投資し、いつか訪れる上昇相場での起爆剤とすることで、爆発的な資産拡大を狙うことができます。
何も不安になることはありません、安心して相場に臨んでいきましょう!
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