この記事は、ITパスポートすら持っていないゆとり世代の一般社会人が、1年で情報処理安全確保支援士まで合格したことを記録するものです。
2023年11月。「そうだ、IT資格を取ろう!」なんて思いついたのが始まりです。一般教養としても役立つだろうし、趣味の投資にも活きるかな〜なんて思いもありました。
そこで「まずはITパスポートから」なんて考えたのですが、どうせなら少し背伸びしてみようと思い、基本情報から挑戦することにしました。セキュリティとネットワーク技術に興味があったので、応用情報を中ボス、情報処理安全確保支援士を表ボス、ネットワークスペシャリストを裏ボスとして目標を立てました。
そして参考書をポチり、勉強をスタートした…という感じです。
※参考:試験区分(出典:IPA)
基本情報技術者(FE)
まずは受験日を決めます。CBT試験は好きなタイミングで受験できるため、およそ2ヶ月後に受験すると決め、申し込みを済ませました。(先に日程を決めることが重要)
この試験は、ITに関する全般的な知識を問う「科目A」と、アルゴリズムの知識を問う「科目B」に分かれています。
参考書は『キタミ式』と『パーフェクトラーニング』を買いました。『キタミ式』は全般的な知識の習得に、『パーフェクトラーニング』は科目B対策に使用しました。初学者としては、両冊とも必須でしたね。
参考書以外だと、やはり『過去問道場』です。科目Aはここで対策します。あとはIPA公式の例題ですね。
他には…YouTubeでしょうか。科目Bでどうも理解できない部分は解説動画で勉強しました。んとね、未経験者にとってはね、アルゴリズムなんて意味不明なんですよ。分岐だの繰り返しだの言ってるけどね、もう意味不明なんですよ。
そんな感じで勉強して、結果は合格。
まぁこんなもんでしょう。より高度な試験を受けるつもりなので、ここでギリギリだったら話にならない。まずはひと安心です。
- 勉強期間:2ヶ月
- 勉強時間:毎日2〜3時間程度
情報セキュリティマネジメント(SG)
セキュリティに特化したもので、難易度的には「基本情報のセキュリティ部門」を少し難しくし、若干ながらの実践的要素を組み込んだくらい。
中ボスの応用情報では午後試験が選択問題になっており、そこで「セキュリティ」が必須科目となっているため、その練習にはもってこいの資格だと思いました。
この試験もCBT形式であるため、例によってこれも先に日程を決めました。基本情報で学んだ知識が抜けないうちにと、2週間後くらいに設定したはず。
試験科目はAとBに分かれていて、Aはセキュリティに関する問題が広く浅く、Bは想定事例から読み取る系の問題が出題されます。問題点を見つけて(選択肢を選んで)指摘する、みたいな。IPA公式の例題を解いてみると雰囲気がわかると思う。
買った本は『出るとこだけ!』ってやつ。基礎的な用語が網羅されていて、なかなか勉強になる。あとはいつもの『過去問道場』です。これをスキマ時間にポチポチと。
そして試験の結果、合格。
基本情報の知識が残ってたこともあり、これは結構簡単でした。応用情報までのつなぎで受けたオマケって感じですので、まぁこんなもんでしょう。
- 勉強期間:2週間
- 勉強時間:毎日1〜2時間程度
応用情報技術者(AP)
ここからが本番です。1月に基本情報とセキュマネを取ったので、次は中ボスの応用情報です。4月の試験まであと2ヶ月半。油断することなく取り組みました。
買った本は『キタミ式』『重点対策』『合格教本』『受かる!』の4冊。でも、わたしみたいに基本情報から連続で受けるなら『重点対策』と『受かる!』だけでいいかも。試験範囲的には「基本情報+α」って感じだからね。
応用情報の難しいところは午後の記述試験。難解な選択問題を短時間で解き尽くさないといけない。午前試験も無視はできないけど、午後試験は本気で対策しないとムリ。
そこで必要になるのが上に挙げた2冊。しっかり解いて、解説読んで、ポイントを押さえる。慣れとコツが重要だよ。それを学んでから『過去問道場』で過去5年分を解けばいいと思う。
午前試験対策も『過去問道場』でいいよ。これも過去5年分を完璧にすればいいんじゃないかな?
午後の選択問題は、必須の「セキュリティ」と興味のある「ネットワーク」。あとは【文系セット】と呼ばれる「プロマネ」「サーマネ」「システム監査」にした。テクノロジ系はね…未経験者にはキツすぎる。
こんな感じで勉強して、本番はブドウ糖摂りまくって頭回して、結果はなんとか合格。午後試験直前のブドウ糖ブーストはホント大事。
午前試験の得点からわかるように、わたしは「ド文系」です。こんな人間がITなんてね…なんか面白いよね。
とにかく、ギリギリでしたが応用情報も合格。ついに表ボスに向け歩みを進めます。
- 勉強期間:2ヶ月半(+基本情報の2ヶ月)
- 勉強時間:毎日3時間程度
直近試験の過去問は勉強する?
資格試験あるあるに「直近試験と同じ問題は出ない」というものがあります。少しでも効率よく学習したい方は、直近試験と同一の問題を省いて取り組んだりもします。
ですが、それはやめましょう。直近試験に出てきた知識は覚えておきましょう。効率とかではなく、知識としてそれくらいは必要なのです。
同じ科目に同一のものが出なくとも、別の問題に選択肢として出てきたり、別の科目に出てきたりします。省くことなくしっかり覚えましょう。
G検定
IPAより情報処理技術者試験のシラバス改定が発出され、出題範囲に「AI」に関するものが加わりました。それを受け、情報処理安全確保支援士試験までにその対策をすべく、G検定の受験を決意しました。
その分野について網羅的に学びたいとき、資格試験は便利です。期限が決まってるし、教材も揃ってる。合格すれば達成感も得られるし、良いこと尽くめです。お金はかかるけど。
ということで、9月の試験に合格すべく勉強開始。買った本は『公式テキスト』と『問題集』です。
この試験はテキトーな感じでOKです。情報処理安全確保支援士と並行して勉強し、無事合格。正直、目的は知識の習得だったので、不合格でも問題はありませんでした。
これであとは表ボスに挑むだけ。試験日まで1ヶ月強、更なる追い込みをかけます。
- 勉強期間:1ヶ月半(支援士と並行)
- 勉強時間:毎日1時間程度
情報処理安全確保支援士(SC)
表ボスです。これを取ることを目標に進めてきました。セキュリティ分野の高度試験であり、求められる知識レベルも高く、その範囲も広く、非常に難易度が高いものです。
試験科目は「午前Ⅰ」「午前Ⅱ」「午後」の3科目ですが、応用情報合格済みなどの条件に該当する人は「午前Ⅰ」が免除になります。「午前Ⅱ」は専門知識を選択肢で回答、「午後」は長文読解&記述問題で、やはり午後試験の難易度が格段に高い。
買った本は『重点対策』『徹底解説』『受かる!』の3冊です。やっぱり『重点対策』は必要だと思う。これがないと午後試験の勉強が始まらない。解説がないと反省もできないから、やっぱ対策本は大事。
あとはIPA公式の過去問だね。過去6年分を印刷して解きまくった。『過去問道場』が午後試験に対応してればよかったけど…わたしの時はまだ準備中だったの。
各科目の対策は…午前Ⅰは免除で済ますとして、午前Ⅱ対策は安定の『過去問道場』です。これも過去6年分くらいやったかな。午後試験は4問のうち2問を選択するタイプで、毎回出てくる分野が変わるから、柔軟に対応できるよう得意分野はいくつか持っておくべき。逆に苦手なものは初めから捨ててもいいかな。
わたしの場合は「インシデント対応」「ネットワーク」「認証と認可」「攻撃手法」の問題をメインに勉強して、「Webサイトの作成」「アプリケーションの脆弱性対策」はほどほど、それ以外はまあ普通って感じで、「セキュアプログラミング」は勉強しなかった。4問のうち2問選ぶから、ひとつくらいは勉強しない分野があっても問題はない。
そんなこんなで勉強して、試験日はブドウ糖inゼリー爆飲みして、祈りを込めて臨んだ結果とんでもなくギリギリで合格。
合格点ピッタリです。正直、今回は50〜62点くらいだと予想していて、不合格だと覚悟していたからこれは本当に嬉しい。2024年で最高の喜びです。ゾクゾクした。
- 勉強期間:3ヶ月(G検定と一部並行)
- 勉強時間:毎日3時間程度
支援士試験のあり方に変化が
この試験は、令和5年の春試験までは
- 午前Ⅰ
- 午前Ⅱ
- 午後Ⅰ
- 午後Ⅱ
という4科目でしたが、令和5年秋以降は
- 午前Ⅰ
- 午前Ⅱ
- 午後
という3科目に変わりました。受験のしやすさを向上させることを目的とし、午後試験が統合されました。
試験範囲の変更はないとされていますが、このタイミングで試験問題のあり方が再検討されたのか、出題の形式に変化が表れました。例を挙げると【下線①が示す問題点について40文字以内で答えろ】などといったものが【下線①が示す問題点について具体的に答えろ】というような形に変わりました。
字数制限がなくなったことで回答の幅が広がったうえ、「”指定された文字数に近い文字数で書かれているヒントっぽい表現”を問題文から書き写す」といったテクニックが通用しにくくなったため、受験者本人の知識そのものが今まで以上に求められるようになりました。
これにより、必要となる対策も変わってくるかと思います。単なる「試験対策本」だけでの合格は難しくなるでしょうから、より根本の知識をつけるような学習が必要となるでしょう。
書籍で学ぶとするならば、例えば『ネットワークはなぜつながるのか』や『マスタリングTCP/IP』とそのセキュリティ編でしょうか。情報セキュリティを語るうえでネットワーク技術に対する知見は必須でしょうから、こういったものを活用して基礎から固めることをオススメします。
あ、過去問周回に意味がなくなったわけじゃないよ。長文から問題点を見つけ出す読解力は当然に必要となるし、指摘事項を短時間でまとめて手書きしなきゃいけないから、そういった訓練はしておかないといけない。
振り返りと今後
2024年の受験結果は以下のとおり。
- 1月:基本情報
- 1月:情報セキュマネ
- 4月:応用情報
- 9月:G検定
- 10月:情報処理安全確保支援士
全戦全勝。素晴らしく順調。
来年は裏ボスのネットワークスペシャリスト(NW)を受けようと思います。まずは4月にそれを受けて、それ以降はまた考えるかな。ダメだったら…また来年受けるよ。
ネスペは春にしかやってないから、秋はなにか別の資格を狙うかも。IT系じゃないものかもしれないし、ベンダー系資格に挑戦してるかもしれない。不動産系かもしれないし、金融系かもしれない。そこはまだ未定だね。
曲を聴くのも控えなきゃ。わたしね、イヤーワーム現象が激しくて、試験の3ヶ月前からは曲禁止にしてる。ちょっと寂しいけど…
ひとまず、ほんの数日は休憩するけど…参考書を買ってまた勉強開始かな。人間、いつまで経っても勉強だね。
登録セキスペになる?
「情報処理安全確保支援士」として活動したり名乗ったりするためには「登録セキスペ」になる必要があります。宅建と似たようなものですね。合格はあくまでも合格ってだけ。
登録は簡単なんだけどね、問題はその維持。毎年研修を受ける必要があってね、研修は勉強になるから別にいいんだけど、とにかくお金がかかるんだよね。
登録に2万、研修で毎年2万、加えて特別な研修が3年ごとにあってそれが8万。登録料はいいとして、更新だけで3年毎に14万だよ。これはちょっとね…
名称独占資格であって、独占業務は特にない。必置資格でもない。登録することが“箔”になる職種なら年収アップとかのメリットがあるかもしれないけど…そうでもないなら、維持費に見合う価値があるかは疑わしい。
記念に登録だけ…ってのもいいけど、維持はしないかなぁ。悩み中ではあるけど、たぶん登録しないかな…
最後にアドバイス
これから受験しようとする方々へ
毎日頑張ることが重要です!
仕事のあとは疲れていると思います。ですが、毎日30分でも1時間でも勉強しましょう。夜が難しいなら早寝早起きで朝にやるのも手です。通勤電車で過去問道場をぶん回すのもアリです。とにかく、できる限り毎日勉強を続け、脳を走らせ続けてください。
ただ、睡眠時間は削らないでください。寝ないと健康を害するし、物覚え悪くなるし、太ります。ホントに。睡眠時間を削る事のデメリットは想像を遥かに超えます。睡眠の勉強もしてみると結構面白いですよ。
そして、決して「1ヶ月で合格」とか「2週間で受かる勉強法」などというものに惑わされないでください。そんな短期間で受かるなんてわたしには無理だし、あなたにも無理です。ちゃんと毎日、何ヶ月も勉強してください。
わたしは「初めてだけど普通に受かった」なんてことは絶対に言いませんし思ってもいません。わたしなりに全力で頑張ったから受かったのだと思ってますし、そうしないと受からないものだとも思ってます。
資格試験は関連するものを順々に取得していくことが効率的です。わたしは基本情報から進めましたが、ITパスポートからでも問題ありません。ひとつひとつ段階的に難易度を上げ、着実に勝ち進むことをオススメします。
”急がば回れ”です。なにか急ぐ事情があるなら別ですが、基本的には初めから高度試験にチャレンジするのではなく、ひとつひとつ時間をかけて段階的にいきましょう。それが高度試験の合格につながる秘訣であり、IT系資格に限らず、あらゆる資格試験でわたしが実践しているものです。
ひとつ注意点。趣味やご褒美をなくさないでください。趣味を削って勉強することは必要ですが、ゼロにはしないでください。ほんの息抜きは必要ですし、合格のご褒美にお寿司や旅行なんてものも大切です。
最後に、綺麗事かもしれませんが、ご家族がいる方は感謝の気持ちを忘れないでください。ご自身が勉強に勤しんでいるなか、お掃除やお料理、お買い物などをこなしてくれている家族への感謝を忘れないでください。家族のサポートがあってこそ乗り越えられる受験です。それを決して忘れないでください。
皆様の挑戦が、実りあるものとなりますように。
…今回はこんな感じ。少しでも参考になったら嬉しいな。
それじゃ、またね!
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