投資全般

高配当株投資とインデックス投資

 「高配当株投資はインデックス投資に劣る」「有配株より無配株の方が効率がいい」などといった主張をよく見ます。

 また、「インデックス投資の取り崩しは気持ち的に難しい」「取り崩しのときに暴落したら大変」といった、投資パフォーマンスとは違う視点での反論も見ます。

 そうすると「売れない意味がわからない」「定期売却サービスを使えばいい」という返しが登場。

 更に発展して、配当金と分配金の違いの話に移ることもしばしば。

 こういう紛争はたびたび発生しますが、大抵の場合、結局何にもならずグチャッとした感じで終了します。

 前に進むような話になら有益ですが、相手をけなすだけで終わってしまうのは、非常に残念です。

議論のためには…

 まずは前置きです。大前提として「何に」「なぜ」を明確にしないといけませんね。

 これがないと、立派な議論もただのぶつかり合いになります。

投資対象を明確に

 何に投資していて、何と比較した場合の話なのかをハッキリさせないと、なにも進みませんね。

 「インデックス投資」や「高配当株」という表現だけでは足りてません。以下のどれに該当するでしょうか。

  • 分配金が投資家に支払われずに内部で再投資されている投資信託(eMAXIS_slim米国株など)
  • 分配金が投資家に支払われる投資信託(いわゆる「毎月分配型投資信託」など)
  • レバレッジ系投資信託(レバナスなど)
  • 高配当ETF(VYMなど)
  • 無配or低配当ETF(VIGやQQQなど)
  • レバレッジ系ETF(SOXLなど)
  • 高配当とされる個別株(いわゆる高配当株)
  • 無配or低配当の個別株(GOOGやソニーなど)

 投資信託とETFについては、それがパッシブ型のインデックス投資なのか、アクティブ型の投資信託なのかも意識する必要があります。

 そして、これらに加えて

  • 投資対象をNISA口座で買っているか
  • 再投資分のNISA枠が空いているのか

 という点も重要です。配当金にかかる税金や(証券会社によっては)再投資にかかる買付手数料に影響しますので、効率の話をするならばしっかりと把握し、その上で比較するべきでしょう。

 まずはこれらを整理する必要がありますね。

目的を明確に

 次に、どういった目的で投資している場合なのかも明確にする必要があります。

  • 理論上考えられる最大の効率で資産拡大をしたい
  • 効率度外視。とにかく「配当金(分配金)」が欲しい
  • 収入は家計に全て充てがっているので、自分へのお小遣いとして幾分かの配当金(分配金)が欲しい
  • 貯金以外の資産形成手段として投資をするが、生活の中でそれを意識しないようなやり方をしたい
  • 銘柄選定などを楽しんでみたい
  • とにかく色々やってみたい
  • などなど

 投資の目的が「数字」なのか「感情」なのか。それは人によって異なります。

 それぞれの目的に応じた投資法を選択しているわけなので、それを否定したり、求められていない見当違いのアドバイスをするのはちょっと違うと思います。

私はどう思っているのか

 さて、前置きはこの辺にして、私はどう考えているのかということなのですが…

 資産拡大の最大効率は「分配金が投資家に支払われずに内部で再投資されている投資信託」を長期保有することだと思っています。

 しかしながら、私はインカムが発生する株を好んで買付しています。

 私は「配当金(分配金)を求める投資」が好きです。配当金を得ることに楽しみを感じます。インカム野郎ですから。保有銘柄の中でインカムが発生しないのはごく一部です。

 私は投資を「ちょっとした趣味」として楽しんでいます。なので投資は「楽しんだもの勝ち」だと思っています。「楽しみながら続けること」を心がけているので、自分で非効率だと認識していても、それが楽しいからそれをやるというのはアリだということです。

 不確実性あふれる株式市場です。未来がどうなるかわからないから、楽しめるうちに少しでも楽しめた方が得だという考えです。そして、私にとっての楽しみとは、最大効率で資産を拡大させることではなく、インカムを得ることなのです。

 私は効率を追い求めてはいません。趣味ですから、自分の認識上最大効率だと考えるものと比べてパフォーマンスが劣ろうとも、日々の生きがいとして楽しめているならそれでOKです。

 もちろん、ひたすらに資産拡大を狙うことが趣味ならば、最大効率を追い求めることは最高に楽しいことだと思いますよ。

余談ですが…

 ひとこと余談です。

 歳を取り、静かに余生を送っている頃には、自分が生きて投資を続けている間の「最適解」がなんだったのかなんて、どうでも良くなっていると思います。

 おそらくですが、たぶん、その頃には投資なんてことよりも遥かに大切なことが身の回りに溢れているでしょうから…

 なので、なんといいますか、研究熱心だったり、本当に楽しくてしょうがないということでもないのなら、投資手法の違いによるパフォーマンスの差なんて気にすることはないと思いますよ。

 投資を長く続ける以上にハイパフォーマンスなことはありません。一般的な投資家であれば、続けているだけで優秀なのです。

自分の投資目的を見失わない

 なんのために投資をしているかで、適切な投資手法は変わってきます。

 手間を掛けず資産形成したいのなら投資信託が良いですし、分配金がほしいならETFが良い。銘柄選定を楽しみたいのなら個別株になります。

 目的にあった投資なのであれば(詐欺的であったり高手数料である場合を除き)どれも正解なのではないでしょうか?

 また、自動だろうと手動だろうと、投資したものを売却して取り崩すということが気持ち的になんとなく嫌だというのであれば、高配当株や高配当ETFを選択するのは良い判断だと思います。(分配金は実質的に元本の取り崩しだから税金の分だけ損をしているなどという指摘はここではズレています。あくまでも気持ちの面を優先した場合の話をしています)

 最後にもう一度。投資を長く続ける以上にハイパフォーマンスなことはありません。他者と比べてキリキリせず、自分の心と生活に悪影響を及ぼすことのない、快適な投資生活を意識することが何よりも大切です。

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