ひとくち記事

それは投資かギャンブルか

 投資と投機(ギャンブル)の違いは、結果が出るまでに何をしていたかによると考える。

 何もしていないほどギャンブル性は高まる。例えばルーレット。あれは賭けてから結果が出るまでが一瞬であり、そこにプラスの経験はさほどない。金銭的な増減があるだけである。パチンコも同じ。大抵の「ギャンブル」はどれもこうだ。

 では株式投資はギャンブルではないのか。これはどのような投資をしているかによる。レバレッジETFを引けで買い、翌日の寄りで売るなんてものは紛れもなくギャンブルだ。だが、決算書や経済指標から何かを予想し、それに基づいて意思決定をするようなものは投資だろう。テクニカル的な思考を巡らせるデイトレードも「引け買い寄り売り」よりかは投資的と言える。

 後者がなぜ投資なのか。それは投資期間中の「密度」が濃いからである。投資先と向き合い、学び続け、株価の上下を受け入れる。そういった行為の濃さこそ、投資を投資たらしめる要因なのだ。故に、いくら時間をかけようと、密度がなくスカスカ、骨粗鬆症のような投資はギャンブル同様と言っても過言でははない。

 例えば「相場無関心完全自動積立投資」なんてものだ。これはギャンブル性の高い投資と言える。なぜなら「最初と最後」しか投資と向き合っていないからだ。この投資法をしている人にとって、投資とは結局「最後(売る時)に上がっているかどうか」なのだ。これは宝くじを買って「それが当たるかどうか」を願うのと同じようなものだ。勝率やら期待値やらの話ではない、「増えるかどうか」という視点しかない以上、それはギャンブル性が高いと言わざるを得ない。

 投資を投資にしたいのであれば、相場と向き合うしかない。相場の上下に心がどう動かされるのか。自分以外の人はどう行動しているのか。指標とは何か。テクニカルとは何か。さまざまなことを学び、「最初と最後」の間の密度を濃くする必要がある。

 これは、結局それで儲かるのかという話ではない。インデックス投資の放置が最大効率なんだからそれで良いとか、そういう話ではない。学んだところで「完全自動積立投資」の成績に変化はないだろう。また、ギャンブルだと悪いなんてこともないし、どちらが上でどちらが下ということもない。

 ただ、恐縮ながらもひとつだけアドバイスをさせていただきたい。投資家でありたいと思うのなら、特に、長い目線での投資をするのであれば、しっかりと勉強し、相場の上下に身を晒すべきだ。

 その理由は簡単だ。「暴落に耐えられないから」である。どれだけ「相場無関心完全自動積立投資」を徹底していたとしても、暴落時には必ず意識に上る。ニュース番組、ニュースアプリ、新聞、SNS、Webサイトの広告。生きているだけで必ず意識に上る。そういった時、相場に無関心だった人や、株価は上がり続けるものと信じていた無勉強の人は恐れ慄き、狼狽のままに投資をやめる。そして口を揃えて「投資は結局ギャンブルだ。危険だ。するもんじゃない」と後世に伝える。

 少しでも勉強した人であれば「プロスペクト理論」を知っているであろう。同じ金額幅の上下でも、利益より損失の場合のほうが心理的負荷が大きいというものだ。日々の微細な株価変動すら見てこなかった人が、数年に一度のショック時にその変動幅を見てしまったら…どうなるかは容易に想像できるだろう。

 暴落時に証券会社の電話がパンクする、これはもはや恒例行事だ。株価はいつ回復するのか。なぜ暴落したのか。自分の株はどうなる。担当者を出せ、あの詐欺師め。今すぐ全部売れ。こんな電話がひっきりなしだ。勉強をせずに「相場無関心完全自動積立投資」をしている人は、自分の末路はこれなのかもしれないと覚悟しておいた方がいい。(SNSや投資ブログを見るなど、少しでも投資情報に触れているのであれば「無関心」ではないだろう)

 こうなりたくないのであれば、日々学び、日々悩み、想像以上に弱い自分の心を素直に受け入れ、利益の前にまずは適切なリスク許容度を追い求めなければならない。また、株式市場の歴史を知ることも、暴落に耐え、投資を長期で続けていくことに役立つだろう。

 自分を投資家と名乗りたいのなら、逃げず、面倒がらず、斜に構えず真正面から向き合うべきだ。それができないのなら投資家ではない。株を買っただけのギャンブラーだ。新NISAが始まり、何も学ばずに勧められるがまま投資信託を買った人は多いだろう。彼らは投資をしていると思っているが、残念ながらその実はギャンブルだ。だが、彼らが学び、相場と向き合うことでそれは投資になる。

 株式市場の成長を最も効果的に享受できる方法は「相場に長く居座ること」だと言われている。そのためにも、学びの手を止めず、投資を投資として続けていく必要があるのだ。

 …今回はこんな感じ。いつも読んでくれてありがとね。

 それじゃ、またね!

 ※なお、書籍「マネーの公理」には『すべての投資は投機である。投資というと賢く見られやすいから投資と言うだけ』みたいなことが書かれてます。ふふ、確かにそうかもしれませんね。

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