この記事では、高配当株投資家から人気の米国ETF、【QYLD】について紹介します。
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【QYLD】は、いわゆる普通のETFではなく、特殊な構造をした物となっています。
今回は【QYLD】の分配金ルールと、【カバード・コール戦略】という仕組み上注意しなければならない点についてご紹介します。
- 仕組み上、基準価格は下落傾向
- 購入価格から見た利回りが大切
なお、本記事は【QYLD】への投資を推奨するわけでも非難するわけでもありません。
私自身以前に投資していましたし、将来的に配当金を活用するタイミングとなったとき、改めて【カバード・コール戦略】のお世話になろうと考えています。
また、【QQQ】と【QYLD】のどちらが良いのかについては、以下の記事も参考にどうぞ。
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QYLDの基本事項
分配金の支払いルール
- 獲得したオプションプレミアムの50%
- 【QYLD】の基準価格の1%
この2点の内、低い方の金額を分配金として支払います。
基準価格の値動き
【QYLD】の値動きは以下のとおりです。
【Nasdaq100】指数が
- 上昇した:QYLDは上昇しない
- 下落した:QYLDも下落する
- 上昇後に下落:QYLDは上昇せず下落
- 下落後に上昇:QYLDは下落したまま
【Nasdaq100】が上昇しても【QYLD】は上昇しません。
これは【カバード・コール戦略】の仕組み上避けることはできません。
獲得したオプションプレミアムのうち、分配金に充てがわれないものが価格に反映され、基準価格は値上がりします。
QYLDの注意点
利回りの罠
【QYLD】を保有する上で
- 単期利回りの上限が決まっている
- 分配利回りに惑わされる
これらには注意がする必要があります。
例を挙げて考えてみましょう
$25.00で【QYLD】を購入し、価格は維持されたまま$0.25が分配されたとします。
この場合の利回りは…
そして、これがそのまま1年間続き、年間の分配金が$3.00($0.25×12)となれば…
では、以下の場合はどうでしょう。
- $25.00で【QYLD】を購入。
- 価格は1ヶ月の間、$25.00を保つ
- $25.00の1%にあたる$0.25が分配される
- 次の1ヶ月は下落局面となり、価格が$23.00となる
- $23.00の1%にあたる$0.23が分配される
- その後1年間下落を続け、最終的に価格は$21.00となる
- 各期、その時点での1%にあたる分配金が支払われる
当初の分配金は$0.25でしたが、じわじわ下がり、最終的には$0.21となりました。
分配利回りは各期1%、年間で12%です。
ETFとしての分配利回りは各期1%であり、年間で12%なのは間違いありません。
しかし、$25.00という購入価格から見た利回りは、12%に届きません。
このズレこそが、【QYLD】における利回りの罠です。
そして、これは現実に起こっています。
- 緑:QYLD
- 紫:QQQ
【QYLD】は2013年末の設定以降、設定時の$25.00を超えることなく右肩下がりです。
単独でのリアルタイム株価は以下のとおり
【カバード・コール戦略】の仕組み上、価格上昇はあまり期待できません。
さらに【Nasdaq100】というボラティリティの高い指数を原資産としているため、ますます期待できないでしょう。
ボラティリティが高いため必然的にオプションプレミアムが高く(=分配金が高く)なりますが、それ以上に価格の上下による低減が目立ちます。
以下に、設定来の年間分配金と年間利回りを記載します。
- 2014年…$2.58:10.28%
- 2015年…$2.20:9.41%
- 2016年…$2.04:9.24%
- 2017年…$1.89:7.89%
- 2018年…$2.65:10.91%
- 2019年…$2.32:10.16%
- 2020年…$2.55:11.92%
- 2021年…$2.85:12.63%
※2021年だけ飛び出ていますが、これは特別な分配金が支払われたためです。
設定当初の$25.00で購入した投資家は、自身の購入価格から見た場合の年間利回り12%に相当する$3.00を、一度たりとも受け取れていません。
2014年と2020年とを比べると、分配金は下がっているにも関わらず、利回りは1.6%ほど上がっています。
ETFとしての利回りだけを見てしまうと
- 利回りが上がった!
- これは増配ということだ!
と勘違いしてしまいます。
なお、全て再投資した場合の成績は
分配金を全て再投資した場合のチャートは以下のとおりです。
- 青:QQQ
- 赤:QYLD
分配金を全て再投資したとしても、原資産たる【Nasdaq100】、すなわち【QQQ】の成績には遠く及びません。
QYLDが合う人とは?
【QYLD】は、あくまでも
- 分配金を生活費として使いたい人
- 【QQQ】の成長が停滞すると思う人
- 単純に高配当株投資を楽しみたい人
が投資する対象であり、
- 資産形成を目的
- 再投資による複利効果を狙う
こういった投資家には向きません。
※同じ指標である【QQQ】を挙げましたが、もちろん【VOO】などでも構いません。
とはいえ、分配金による喜びは何物にも代え難いものです。
感情的に楽しめる投資を織り交ぜ、各々が続けやすい投資をすることが大切ですね。
YoC(Yield on Cost)
購入価格から見た利回りのことを「YoC」と呼びます。
分配金目的の投資において大切なのは、ETFの利回りではなく、各個人投資家の「YoC」なのです。
【QYLD】の価格は緩やかな下落傾向です。
すなわち【QYLD】に投資している全ての投資家の「YoC」は低下傾向にあります。
「YoC」を向上させるためには、利回りではなく、分配金そのものを増やすことが必要です。
※ナンピン買いにより購入価格を下げる手段もありますが、あまり前向きではないため、期待して待ちわびるものではないでしょう。
配当金にも魅力はある
改めて申し上げますが、【カバード・コール戦略】とは、指標となる対象の価格上昇による利益を放棄し、横ばい相場での利益を狙うものです。
言い換えるならば、横ばい相場でしか他と比べて優秀な成績を残せないということです。
指標、今回で言う【QQQ】が成長すると思うのならば、【QYLD】ではなく【QQQ】に投資し、その成長分を必要の都度手動にて売却し現金化した方が良いと、過去の実績で証明されています。
しかしながら、手動での売却とは、想像以上に莫大なストレスがかかるものです。
手動での取り崩しという最悪のストレスから免れるために、分配金という自動現金化の仕組みを使うのは大いにアリだと考えています。
【QYLD】は、悪い投資対象ではないし、ましてや詐欺や騙しの類ではありません。
オプション取引における王道の手法を取り入れた、分配金に特化した優秀なETFです。
- 目先で分配金が欲しい
- 分配金で楽しみたい
こういった方には、これからも変わらずオススメできるETFです。
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