ひとくち記事

投資の理論と現実

 いつの時代も、相場を形成するのは人々の熱狂であり、理屈や屁理屈ではない。感情によって積み崩しされる、株価変動という根拠も再現性もないものが「事実」となって刻まれる。そんな「事実」を分析して作られたものが相場の理論なのだが、はたしてそれに心酔するのは適切だと言えるのだろうか。

 株価指数が1日で5%ほど変動することが稀にあるが、これは比較的大きめの変動であることから、なぜそれほど値が動いたのかを経済アナリストは分析する。ただし、その理由をはっきりと断定できることはほとんどない。(書籍「株式投資」より)

 人は株価変動にパターンや法則、理屈や理論を求めたがるが、相場というものはそのようにできてはいないのだ。

 日本には道路交通法というものがある。詳細までは知らずとも、日本人であればその概略くらいはわかるだろう。赤信号は止まる、飲酒運転はダメ、駐禁エリアでの駐車禁止、安全に止まれる速度で走る、スマホを見ながら運転しない。当然守るべきものだ。

 全国民が道路交通法を守る限り、突然の車体トラブルによるものを除き、理論上、交通事故は起きない。この法律はそういうものである。

 だがどうだろう。現実は交通事故まみれだ。怪我人のみならず死者も出ている。おかしい、道路交通法は当然守るべき法であり、当然守られるはずの法である。そしてこれが守られている限り、理論上交通事故は起きないはずである。

 これはどういうことか。理論上起こり得ない交通事故が起きているということは、理論が成立していないということか。理論に穴があるのか。いや違う、人間が法を守っていないだけなのだ。なぜ守らないか、それは守ると不便さや窮屈さを感じるから。だから守ることを面倒がってしまうのだ。

 そう、本来成立するはずの理論が成立しない理由は「人間の感情」なのだ。

 理論なんてこの程度のものだ。理論は感情に負けてしまう。感情が入り込む余地がある限り、理論は感情に勝てないのである。相場の理論もこれ同じ。たとえ自分は理論で感情を制していたとしても、それができない人によりその理論は不成立となる。

 効率的市場仮説というものをご存知だろうか。投資の世界で最も有名とされる理論のひとつだが、なぜこれに「仮説」と付いているのか。これは科学的に証明ができていないからであるが、それは当然である。個人の感情が蔓延る株式市場で、科学的な証明などできるわけがない。

 WBCで日本が活躍するたび、大谷選手が活躍するたび「大谷工業」の株価は跳ね上がった。村上選手が活躍すると、今度は「村上開明堂」が跳ね上がった。経済アナリストに聞きたい、これは何故かと。これはどういった理由から生まれた急騰なのだと。これは何かの理論によるものなのかと。

 理論なんてこんなものだ。だからこそ、それに頼り切ってはいけない。「過去の人間の感情」が生み出した「事実」に基づいた理論に縛られていては、また他の誰かの感情によりその理論が成されなかったときに対応ができない。

 だからこそ、別にいいのだ。相場に感情を持ち込んでも。自分の中の理論と感情をおり混ぜ、計画、実践、検証、修正を繰り返す。そうやって経験を積み上げることで、心も強くなる。相場で戦うのは理論ではない、自分自身だ。自分を強くしないことには生き残れない。

 相場に揉まれることで、苦しみながらも生き続けることで、上質な経験が積み上がる。正しく積まれた経験は、きっと、きっと利益へと繋がるはず。少なくとも、投資における最大の利益源は「長く続けること」だと言われているのだから、生き残ることがプラスリターンに繋がると期待するのは的外れではない。

 理論に縛られることなく、感情と向き合い、自分なりのやり方で生き抜くことこそ、本当の意味での成長につながるのではないだろうか。

 投資の理論とは感情の歴史であり、未来を示すものではない。これを受け入れることが、成長の第一歩であろう。

 ……今回はこんな感じ。なんか疲れちゃった。

 それじゃ、またね!

 P.S. 長く続けることが最大の利益源っていうのも「理論」なのだとしたら、いつかこれが人々の感情により覆ってしまうときも来るのかもしれないね。てへぺろ。

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