こんにちは、さとりです。
この記事では、私が愛するETFである【VIG】と【QQQ】について、これらをどのような比率で保有すると、全ての基準たる【S&P500】を越えるパフォーマンスを獲得できるのかを検討します。
新NISAが開始されることもあり、【VIG】と【QQQ】への注目度は高まっているように思えます。
積立投資枠でNasdaq100連動、成長投資枠で【VIG】(またはその投資信託)なんて具合ですね。
組み合わせることが効果的なのか、そしてどの程度リターンに影響するのかを調べてみましょう!
リターン狙い
◯VIG:QQQ=50:50
バランス重視
◯VIG:QQQ=80:20
リターンより安定!
◯VIG:QQQ=95:5
※この記事は、2022年1月に書かれたものを2023年12月に書き直したものです
組み合わせが輝くことも
株式投資にて効率的に資産を増やすためには、分散投資によるリスク調整が重要になります。たとえETFであっても、銘柄によっては他のETFとの組み合わせが有効となる場合もあります。
ETFも多種多様ですが、いわゆる王道のインデックス投資である以下の3種
- VT(全世界)
- VTI(全米)
- VOO(米国TOP500)
これらのような「広く効率的に分散」されたものであれば、単独でも十分完成されていると言えるでしょう。しかしながら、
- QQQ
- VIG
- VGT
などといった
- 分散数が少ない
- 選定に条件がある
- 特殊なテーマ性がある
このようなETFは、適切な組み合わせによりリターンが向上する可能性があります。
それでは、分散によるリターンの差を「Portfolio Visualizer」を使用して調べてみましょう。
比較の条件設定は
- 初期投資額は1万ドル
- 分配金は再投資
- リバランスは年1回
としています。
また、比較は2009年3月からとしています。
目指すPFは?
目標は至極単純です。
【S&P500】よりも標準偏差が小さく、リターンが高いPFです!
比較の前段階として
各銘柄のセクター比率
SPY(S&P500)
QQQ
VIG
セクター比率も意識しながら、これらをどのように組み合わせればより良いPFになるかを検討していきましょう!
各銘柄単独での記録
- 青:VIG
- 赤:QQQ
- 黄:SPY
チャート上部にあるデータの意味は以下のとおりです(主要なもののみ)
- CAGR:年平均の成長率
- Stdev:標準偏差(低いほど良い)
- Max.Drawdown:最大下落率
- Sharpe Ratio:価格変動に対するリターンの高さ(高いほど良い)
- Sortino Ratio:下落リスクに対するリターンの高さ(高いほど良い)
成績を比べると以下のようになります。
- リターン:QQQ>>>SPY>VIG
- 安定性 :VIG>SPY>>>QQQ
- 最大下落:QQQ>>SPY>VIG
単純にリターンだけを比較すると、この期間では【QQQ】が絶好調でした。【VIG】は【SPY】にも劣るリターンですが、その代わり標準偏差と最大下落幅が抑えられていますね。
【QQQ】で成長を取り、【VIG】でリスクを抑える。これがPF全体の成績に大きく影響しそうです。
「リターンが高い【QQQ】だけで良いのでは?」と考えてしまいがちですが、価格の変動幅や最大下落率が非常に高く、とても【安定的】とは言えません。よほど経験を積んだ投資家でない限り、これ単独で投資を続けるのは難しいでしょう。
複数の銘柄を組み合わせ、自身のリスク許容度に合わせたPFを作ることが大切なのです。
なお、2000年からだと…
【QQQ】と【SPY】であれば2000年からの比較ができるため、参考に見てみましょう。
- 青:QQQ=100%
- 赤:SPY=100%
2000年からの比較でも、最終的な金額は【QQQ】が若干上回っています。しかし、最大下落率が恐ろしいことになっていますね。
ITバブル崩壊と同等の暴落が今後起きるかどうかはわかりませんが、セクターの偏りが激しい銘柄への集中投資がいかにリスクの高いことなのかがわかります。集中投資は莫大なリターンをもたらし得る投資法ですが、それと同時に莫大な損失をもたらすおそれもあります。
参考:SPYとVIGでの分散は?
単独での成績が似通っていたこの2銘柄を混ぜ合わせるとどうでしょう?
- 青:VIG=100%
- 赤:VIG=50%+SPY=50%
- 黄:SPY=100%
バランス型とディフェンス型を混ぜた感じになりました。
特別大きな効果は期待できないため、どちらか一方だけでも良さそうです。
VIGとQQQの配分を検討
半分ずつ保有した場合
シンプルに同じ比率で保有した場合です。
各種データ
- 青:VIG=100%
- 赤:VIG=50%+QQQ=50%
- 黄:QQQ=100%
- 緑:S&P500指数
絶好調である【QQQ】に守りの【VIG】を混ぜたため、当然ながらリターンは小さくなります。
しかし、標準偏差を【S&P500】と同等にすることができたので、PFとしての安定性は増しました。さらに、単純なリターンはもちろん、シャープレシオとソルティノレシオについても【S&P500】を超えています。
セクター比率
情報技術セクターが大きくなっています。
基準としている【S&P500】の最大セクターである情報技術セクターの比率が約29%であることから、このPFでそれが約40%というのは少しばかりリスキーと言えるでしょう。
情報技術セクターが集中的に下落した際には、【S&P500】よりも大きく下落することが予想されます。
まとめ
- 安定性 :S&P500とほぼ同等
- リターン:S&P500の約1.32倍
- 問題点 :情報技術セクターの下落
セクターの偏りを抑えた配分
【VIG:QQQ=95:5】で保有し、情報技術セクターの比率を25%まで落とします。
セクター比率
情報技術セクターの比率を【S&P500】以下に落としました。最大のセクター比率が25%であることから、セクター単位の下落への対策は十分です。
各種データ
- 青:VIG=100%
- 赤:VIG=95%+QQQ=5%
- 黄:QQQ=100%
- 緑:S&P500指数
【VIG】の割合を高めたことにより、安定性が大幅に増強され、最大下落率も抑えることができました。
しかし、逆にリターンは大幅に減少してしまいました。
安定性こそ強化されていますが、リターンで負けているのはちょっと残念ですね。
まとめ
- 安定性 :S&P500より良い
- リターン:S&P500の約0.87倍
- 問題点 :リターンが控えめ
セクター比率を最大30%とした配分
【VIG:QQQ=80:20】で保有し、最大セクターである【情報技術】の比率を30%にします。
セクター比率
これまでの2つの中間のような比率ですね。【QQQ】単独では上位3セクターで8割超えでしたが、このPFでは6割弱に抑えられています。
しかし、年に数回実施されるETFの構成銘柄変更によりセクター比率も変わると予想されるため、頃合いをみて入金による調整やリバランスを適切に実施する必要があります。
各種データ
- 青:VIG=100%
- 赤:VIG=80%+QQQ=20%
- 黄:QQQ=100%
- 緑:S&P500指数
この比率で組み合わせた結果、リターンは【S&P500】とほぼ同様になりました。ただ、標準偏差、最大下落率、シャープレシオ、ソルティノレシオについては【S&P500】よりも優秀な結果になりました。
リターンが同じなら変に分けたりしないで【S&P500】だけでいいじゃないかって?確かにリターンという結果だけを見るならそのとおりです。
しかし、相場と向き合って資産形成をしていく以上、日々の値動きから受ける精神的ダメージを軽減すること、もっと言えば、リターンを落とさずに安定感を高めることは非常に重要です。
まとめ
- 安定性 :S&P500より良い
- リターン:S&P500とほぼ同様
- 問題点 :リバランスが重要
あくまでも過去の結果
大切なこと
いくつか比較しておいてアレですが、あくまでも過去の結果であることを忘れないようお願いします。
そして、ETFの保有にあたり大切なことは、過去の成績や現在のセクター比率ではなく、ベンチマークを理解し愛することです。
これを忘れず、柔軟に投資を継続させていきましょう!
比率まとめ
【VIG】と【QQQ】のみで株式PFを組むのであれば、求める期待リターンや自身のリスク許容度に合わせて、【VIG】の割合を「50%〜95%」で変動させると良いと思います。
リターン重視
◯VIG=50%〜65%
バランス重視
◯VIG=65%〜80%
安定性こそが正義!
◯VIG=80%〜95%
資産は株式だけではない
今回は【VIG】と【QQQ】での比較でしたが、PFのリスク調整には【債券】や【金】といった株式以外の資産も有効とされています。
株式100%より、債券をいくらか混ぜた方が長期的な成績が良いことも研究により判明しています。株式の構成をリターン重視にする代わりに債券を多めに混ぜてリスクを調整する……などといったことも有効です。
ぜひ【VIG】と【QQQ】を組み合わせ、安定的な投資による堅実な爆益を実現させましょう!
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